体は心の奴隷 M311

体は心の奴隷
 


男子3日にして刮目して見よ!という言葉があります。その意味は、男子は3日会わないだけで見違えるほど変わってしまう!というように、3日もあれば、人間が変わるほど色々なことを体験できて、風貌も顔つきも変わってしまうのです。

 
学問や仕事など心を込めて熱心に取り組めば、今までとは別人のように壮観な顔つきになります。信じられないと思いますが、こんな生徒は何人もいましたよ。まわりの生徒は、あの人は本当に変わった!と言いますから、顔つきも風貌もオーラも変わるのです。人は意識のベクトルの方向で、雲泥の差になるのです。今日も含めてあと3日ありますから、意識をより深めて下さい。

 
おまけですが受験生には、「朝に道を知れば夕べに死すとも可也」という言葉があります。これは、わずかに1日でも、真実がわかれば、死んでも良い!ということです。新しい自分に生まれ変わる!という意味にも取れますが、3日もあれば苦手な教科の克服が十分できますので、苦手な教科を極めれば、苦手意識がなくなった新しい自分に生まれ変われるのです。3日間を真剣に全力で取り組んで、自分の顔をさらに聡明な顔つきに変えて下さい。

 
「朝の食卓」というコラム欄に、札幌の内科医の方が書いた「身は心の奴(やっこ)なり」という文章がありました。北海道新聞から抜粋して紹介----------------------

 
1年余り前、60代の男性が私の診療所を訪れた。内臓のがんが肺に転移した、いわゆる末期ガンで、「漢方で免疫力を上げてほしい」という。主治医から余命が何ヶ月もないことを告げられていたようだ。やせて、表情に生気が全くない。私は、免疫力の主体は精神力であること、がんでは漢方はその手助けにすぎないことを、まず説明し、「釈迦は、長短はあれ、人は生まれたら必ず死ぬと言ったが、人の生きる意味を、ここで深く考え直してほしい」と、1時間ほど語りかけた。

 
「毎日、いつ死ぬかとおびえ、追っかけられて生きるためにあなたの人生があるのですか。残された時間がいかに大切かを考え直さないと、大きな悔いを残すと思う」とも言った、患者さんは知的な方で、私の話を涙ながらに理解してくれた。その後、忘れていた趣味の花作りなどを楽しむようになり、町内のボランティア活動まではじめた。

 
表情もすっかり明るくなり、食欲が戻り、体重は3キロ増えた。そして、肺のがんの増大が止まった。こうして心が体の病気に強く影響するのを、実感することが少なくない。江戸時代に貝原益軒が記した養生訓にある「身は心の奴(やっこ)なり」とは、「体は心の奴隷」との意味だが、あらためて名言だと思う。(内科医・札幌)

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物事が順調に行っている時は問題はないのですが、人は病気や絶望的な困難に遭遇すると、誰もが心に囚われて生気がなくなります。今までの西洋の科学は、心の働きを無視してきたために、こういう話は精神的なこと捉え、心が思うだけでは物理的な変化は起らないという唯物論が一般でした。思うだけなら、どんなに悪く思っても、どんなに
マイナスのことを思っても、痛くもかゆくもないのだから、どうぞご勝手に!というレベルで終わっていました。

 
高学歴の知的な人ほど西洋の科学の概念に洗脳されているので、目には見えない精神的な分野を宗教的な捉え方で軽視する傾向があり、説得には厳しいものがあります。このお医者さんは、東洋の漢方にも精通しているので、心の働きも理解されて、最も肝心なことを患者さんにアドバイスしているのですから素晴らしい人です。

 
この患者さんにとっては、何年もかけてガンの治療をするよりも、この先生の1時間のアドバイスのほうが何倍も優れた治療になったのです。技術的なことが優先され、心の問題は無視されているのですから、あらゆる分野で必要になってくると思います。学問の分野でも100の知識を教えるよりも、1つだけでも、心に火をつけてあげることがどんなにその子の未来が開けか、計り知れないものがあります。

 
最近は、東洋の漢方ばかりでなく、遺伝子工学の領域から、思うことが物理的にも影響があることが証明されています。人間の遺伝子はスイッチのようになっていて「ON・OFF機能」があります。そして、人間の気持ちや意識によって遺伝子がONになったりOFFになったりするのです。感動したり、笑ったり、明るく前向きな考えを持ったりすると、望ましい遺伝子がONになり、望ましくない遺伝子がOFFになる!というのです。

 
反対に、悩んだり、恐れたり、恨んだり、ネガティブな思いを持つと、望ましくない遺伝子がONになってしますのです。末期ガンの宣告を受け、毎日、いつ死ぬかとおびえながら生きていると、望ましくない遺伝子がONになり、やせて、表情に生気が全くない!という状態になるのですから、遺伝子工学の領域からも十分納得できます。

 
この患者さんは素直に受け入れてくれて、望ましい遺伝子がONになり、望ましくない遺伝子がOFFになって、がんの進行がストップしたのです。遺伝子がONになれば、自分でも想像できないような能力が発揮できることは火事場のバカ力からも明らかです。