マトリックス願望達成法 M752

マトリックス願望達成法




昭和元年、松下電気器具製作所を創立して約8年目、
丁稚奉公からはじまり、苦労して築きあげてきた事業も
順調に発展し、松下幸之助氏が32歳の時、待望の長男、
幸一さんが誕生しました。


仕事も順調で、心から望んでいた長男の誕生ですから、
幸せの絶頂期だったのです。


しかし、1927年(昭和2年)2月4日、未来に希望の夢を
ふくらませていた幸一さんが、生まれて半年足らずで、
亡くなってしまったのです。
 

苦難を乗り越えて事業を起こし、順風満帆の絶頂期に、
自分の分身でもある息子が死んでしまうのです。


親にとっては、自分の子供を失うほど悲しいことはありません。


心の優しい幸之助氏は、絶望感に支配され、奈落の底に
つき落とされたのです。


失意のどん底とはこのことでした。


こんなに強く、深く、不幸感を心に感じた事は、幸之助さんの
人生でも初めてのことでした。


この悲しみは他人には計り知れない深いもので、生き
甲斐を失った幸之助氏は、絶望感と挫折感で、錯乱状態に
陥ったのです。


せっかく築き上げてきた事業まで、むなしさのあまり、どうでも
よくなり、やめてしまおう!と、投げやりな気持ちになったそう
です。


息子の命も助けられなくて、偉そうに、何が経営者だ!
助ける方法は必ず有ったはずだ!と、自分を責めます。


世の中を恨み、人を恨み、そして、自分をののしるのです。


辛く、悲しい日々が1年以上も続き、絶望の果てに、和歌山の
高野山加藤大観僧侶のもとを訪れたのです。


高野山は、弘法大師空海が開いたお寺で、名だたる企業の
経営者は、宗派を超越して心の修養のために訪れるところです。


何年か前に、仕事の関係者の紹介で、加藤大観僧侶と会った
ことがあり、面識があったのですが・・・。


ここに導かれたのは、神がかり的に背中を押されたような、
何らかの導きを感じながら来てしまったのです。


息子の幸一が、今の傷心の自分を助けるために手をさし
のべてくれたのだ!悲しみから逃れる最良の方法を教えて
くれたのだ!と・・・、無意識に感じたのかも知れません。


高野山の懐に抱かれて、息子の気配を感じると、魂を揺さぶる
ほどの感動で、涙が止めどもなくあふれてくるのです。


そして、加藤大観僧侶に心の中をすべて打ち明けます。


何もかにもむなしくて、今の、事業もやめたい!と、弱音も
はいたのです。


その時、加藤大観僧侶は、「おまえには、社員、従業員が居るではないか!」と、叱咤激励するごとく、言ったのです。
 

この時、幸之助氏は、「は!」と、我にかえったのです。


自分には、愛すべき従業員が・・・。大勢の息子が・・・。


「よし!」もう一度生まれ変わって、一からやり直そう!という
気持ちに目覚めたのです。


加藤大観僧侶の言葉が、強く深く幸之助の心の底まで
響いたのです。


悲しみや恨みに取り付かれている自我を捨て去ると、そこには
無限の愛がありました。


本当の自分の宇宙の根源からの愛のパワーです。


最愛の息子、幸一の導きで、加藤大観僧侶と対面し、絶望的な
悲しみを乗り越えることができ、自分には愛すべき、社員、
従業員がいることに気づき、自分の本当の使命に気づいたのです。


それから、加藤大観の教えで、座禅(瞑想)をするようになり、
ひたすら、社員、従業員に感謝、お客さんに感謝、生きていることに感謝の瞑想でした。


最愛の息子との対話でもあったと思います。


経営の神様と呼ばれている松下幸之助氏の経営は、
従業員の幸せをひたすらに思う愛の経営でした。


松下幸之助さんの、心の中には、幼くして死んだ息子の
幸一さんが生きていて、心の中で育てあげ、神仏のように
成長させていたのです。


自我を捨て、気高く、崇高な胎内仏を育て上げることが、自分の
使命の遂行に、計り知れないほど役立ったのです。


世界恐慌、太平洋戦争、その後のGHQによる公職追放
などの苦境、このような数々の不景気や逆境を乗り越えて
来れたのですから。


これらの困難のレベルは現代の障害とは、比べ物にならない
ほど、何十倍も大変だったと思われます。


困難にあっても、自我を殺して、自分の意識を無にして、
心の中の幸一さんとの対話をし続けてきたのです。
 

そうする事で、自分のことや会社のことより、従業員のことや
問屋を最優先する考えに至るのです。


そして、結果的には、多くの危機を社員や組合や大衆に救われ
てきのです。


心の中からは、素晴らしいアイデアが次々に浮かんできて、
幾多の試練を乗り切るたびに会社が大きくなってきたのです。

 
松下電器産業では毎年5月5日に創業記念式典が行されて
います。この5月5日は会社が設立された日ではありません。


実は1932年5月5日、幸之助氏は商売人の使命を自覚して、
その年を「使命を知った日」として命知元年とし、毎年5月5日に創業記念式典を行っているのです。

 
5月5日は、端午の節句子供の日です。


このことからも、松下幸之助氏の心の中には長男の幸一さんが
神仏のように宿っていたことがわかります。

 
私達は、イメージの世界で、心の中に、自分自身の分身を、
胎児の時点から育てあげることができるのです。


聖徳太子松下幸之助氏の例を取り上げましたが・・・。


胎児のレベルから高い意識を育て上げ、どんな人にもある
「大いなる自己」に到達できるマトリックス願望達成法の内容が
ご理解いただけたでしょうか?


意識レベルを高めれば、松下幸之助氏のレベルまで、
到達することができるのです。