弓道の神様 M584

弓道の神様



「望ましき未来を招くことができる極意」

 
弓道の呼吸法は、複式呼吸で、吐く息を長くする、丹田呼吸だと
思われます。

 
弓道の神様”と呼ばれた「阿波研造」に関する資料の中で、呼吸法について

                                                                            • -


1919年ころまでの阿波研造は、合理を心がけているといってよい。
手帳に〈射 業の要諦〉を十七項目あげたところがある。


第一に〈完全な合理的な体を作ること〉をあげ、第十に〈合理的な
呼吸法を知らせること〉とある。


第六に〈下腹部に精神を集中させること〉、第七に〈丹田を練る方法を与えること〉あり、また第八に〈発後 の変動を防ぐために一気を
練らせること〉とあり、これらが禅への関心と結びついていっ たと考えられる。

                                                                            • -

 
この文章からも、下腹部に精神を集中させて、丹田を練る方法を教え、その結果として、氣を練ることに重点を置いていたことがわかります。

 
弓道の神様」と呼ばれていた、伝説の弓道家、阿波研造は、
的を見ずに」矢を的中させることができたのです。

  
これは、心の目、つまり「心眼」が開眼していたのです。

 
下腹部に精神を集中させて、丹田呼吸と、氣のエネルギーを練る
実践で、目標物である「的の真ん中」と一体化していたのです。

 
遠くにある小さな的がどんどん大きくなり、近づいてくるのです。
そして、的の真ん中が、巨大な宇宙になれば、矢をどこに放っても、
真ん中に命中するのは当たり前になります。ですから、目を瞑っても、暗がりでも、どんな状況でも命中するのです。

 
対象物も宇宙も自分も一つになるのです。丹田の奥の一点に、
意識を集中することが、この神業を可能にするのです。

 
まるで、 五次元の奇跡の世界から、三次元の現実の世界に招き
寄せたようです。これは意識だからできるのです。

 
ミクロの命数は、目に見えない程小さなものです。それが意識の
力で巨大な宇宙にもイメージすることができるのです。

 
私達の実践していることが的外れではないことがわかってきます。
名人ではなくても、 能望と『幸せの和』と、降龍と昇龍があれば、
普通の人でもできてしまうのです。

sikisi_9zuryu.jpg
 
阿波研造は、イメージの力と氣のエネルギーのパワーで、
百発百中の命中率で、暗闇の中でも、ど真ん中に命中しているのです。

 
初めから、ど真ん中に命中すると、千に一つの疑いもなく、
心に微塵の動揺もないのです。そんなことあり得ない!と、誰もが思います。

 
オリンピックのアーチェリーも弓ですが、競技の最中は、金メダルを
取るくらいの名人でも緊張して心は動揺していると思います。

 
オリンピックに出場する選手は、皆さん、ほとんど実力は同じ
レベルだと思います。

 
後は、競技の本番で、精神の集中ができた人がメダリストになる
ような気がします。

 
弓になれた人でも、ほとんどの人が命中できないのは、はずれたら
どうしよう?とか、当たるはずがない!とか、自分の意識とは関係ない無意識が邪魔をしているのです。この無意識は、七識のマナ識です。

 
弓道の神様」と呼ばれた阿波研造が、無心の境地になれて、
心眼を開いたのは、吐く息を長くする丹田呼吸の実践からだと思われ
ます。

 
阿波研造は、少年の頃は、天台宗のお寺で「漢学」を学んでおります。天台宗は、内観とか呼吸法など、座禅の修行もありますので、禅と密接な関連があります。

 
白隠禅師の丹田呼吸の効用は当然のごとく承知のことで、弓に禅の
思想を取り入れたのです。
 
 
自分の意志である、顕在意識の思考が完全に停止し無心の境地に
至ったときに、もっと奥深くにある心の本質=大いなる自己の意志が、表面に出てくるのです。

 
これが、あらゆる分野にも通ずる望ましき未来を招くことができる
極意ではないでしょうか。